ジャパンキャンピングカーショー2016【NTB(日本特種ボディー)の新型キャブコンSAKURAの素直な印象】
今回は、2016年2月11日(木曜祝日)に千葉県の幕張メッセで開催された『ジャパンキャンピングカーショー2016』の様子をご紹介。
何やら見慣れない感じのキャブコンタイプのキャンピングカーが展示してあります。昨年に東京のお台場で開催された『お台場キャンピングカーフェア』に展示してあったのをチラリと見ただけなので、今回はじっくりと見ていこうと思います。
NTB(日本特種ボディー)という新しいキャンピングカービルダーが製造しているキャブコンのよう。ただ、日本特殊ボディーの方々は埼玉県春日部市にあるAtoZの元社員の方という話を聞いています。
いすゞのキャンピングカー専用シャーシである『びぃーかむ』をベース車両に採用している辺り、AtoZの影がちらつくところ。
会社の枠を超えて良い物を造ろうということで、新しい会社を立ち上げ、今時点で自分達の考えられる最高のキャンピングカーを造ろうという気概に満ちた今時珍しいキャンピングカービルダー。
どちらかと言えば無難なキャンピングカーを利益最優先で製造している大手キャンピングカービルダーなどは、この情熱と姿勢を見習って欲しいもの。
コストダウンのことばかりを考え、安全性や快適性を犠牲にしたキャンピングカーを造り続けているキャンピングカービルダーはいつの日か淘汰される日が来ると思います。
日本特種ボディーのフラッグシップモデルである『SAKURA(さくら)』の走行インプレッション動画が放映されていました。「まもなく談合坂SAですが80km/hをキープ」というようなテロップが流れています。
いすゞのびぃーかむは、
『キャンピングカー専用シャシー ビィーカム1.5t』
・TRG-NHR-85AN (2WD)
・TRG-NHS-85AN (4WD)
・4JJ1-TCN クリーンディーゼル2.999L 110ps 25.5kg-m
『トヨタ カムロード(CAMROAD)』
・エンジン(型式)2982cc(1KD-FTV)
・コモンレールディーゼルターボ 1998cc(1TR-FE)
・エンジン出力 144ps/3400rpm
・トルク 30.6kgm/1200~3200rpm
というスペックで、110馬力とトヨタのカムロードに対して34馬力も低いエンジン出力にも関わらず軽快な走りが可能ということは、キャンピングカー全体の重量が軽いのでしょうか?
新しいキャンピングカービルダーがどのようなコンセプトでキャンピングカーを造っているのか、ボードに書かれていることを詳しく読み込んでいきたいと思います。
キャンピングカー専用に開発されたベース車両 いすゞびぃーかむに日本製のボディーを架装した唯一のキャンピングカー
日本特種ボディーSAKURAの特徴
◎ISUZUびぃーかむがもたらす最高の安全・安心・快適
バーストに強いリアダブルタイヤ、専用リヤスプリング、専用ショックアブソーバー、専用リヤスタビライザー、ワンランク上の厚さ太さを備えたシャシー、ワンランク上のブレーキ、走る・曲がる、止まる・乗り心地 いすゞ自動車が本気で生み出したキャンピングカー最高の性能。
◎特化した余裕ある電源設備(フルパッケージ)
・真夏でも安心して長時間稼動させられる車載専用に開発された高性能クーラー
・クーラーを使用した際にもバッテリーの劣化を防ぐ貯電システム ウルトラキャパシター
・160Wのソーラーパネルを標準で3枚(480W)最高4枚(640W)まで搭載可能
・ソーラーパネルの発電を無駄無く充電する高性能MPPTソーラーコントローラー(充電効率96%)
・サブバッテリーはAGM24V200A(12V100Aを4個)
・1.5kw正弦波インバーター
◎キャンピングカーで他に類を見ない積極的に室内温度を調整できるエアサイクルボディー
直射日光で熱せられたボディー内部に外気を導入し排熱する機構を搭載したエアサイクルシステム搭載
◎世界最高基準を満たし、シックハウス対策に万全なF★★★★ 4VOC材料のみ使用
ボディー素材、家具素材、接着剤等全てに安全な材料のみを使用
◎品質面で確実な安心を得る為、国内生産のボディーを採用
材料管理、品質管理に迅速万全な体制を確立する為のメイドインジャパン
◎家具色、シート生地、床色、カーテン色柄全てご指定可能
家具は10色、シート生地、床クッションフロア、カーテン等、注文住宅の方式で細部までオーダー可能
◎様々なご要望(オプション)にご対応
車検に通らない、安全性を損なう等のキャンピングカーとして問題が無ければ、全てご対応させて頂きます。
というような案内がなされており、要約すると・・・
・走行性能に自信アリ
・クーラーを長時間バッテリーで稼動させることが可能
・エアサイクルボディーという独自技術で快適性を追求
・シックハウス対策は万全
・キャンピングシェルは日本製
・内装家具等のオーダー可能
・どのようなオプションも対応可能
上記を見る限り、「安全で快適なキャンピングカーをトコトン追求した結果、こんな感じの内容になりました~」ということらしい。
やはりキャンピングカーを愛して止まない人達が造る『熱い』キャンピングカーだけに、様々な思いが詰まっている模様。それに応えるかのように、成約済の札が掲げられていました。
千葉県や茨城県、遠くは愛知県や鹿児島県のお客さんもいるようで、新しいキャンピングカービルダーとしての販売実績を着実に積み上げているようです。
バンクベッドは大きめのデザインで、あずき色のアクセントが効いています。
バンクベッド部分のアクセントが色違いのバージョンも有。
『SAKURA価格表(2016年3月末迄)』が掲示されていました。手書きで丸を入れた場所に☆印があるのが、今回展示している車両なのでしょうか?
税抜き価格になりますが、ギリギリ900万円を切っています。ただ、税込み価格となれば、フルパッケージの890万円を例に取れば税込み価格は960万円以上になり、諸々の経費を入れると1,000万円近いキャブコンタイプのキャンピングカーということになりますね。
1,000万円と言われると、いつも思うのがコースター等をベース車両にしたバスコンが視野に入ってくる価格帯で、走行性能や総合的なボディーの堅牢性を考えるとマイクロバスベースのキャンピングカーも決して負けてはいないため、悩ましいところです。
車内に入ってみると、バンクベッドは外観の通り広そう。セカンドシートは3人掛け。家具の質感も良く落ち着いた雰囲気のデザインです。
車載専用クーラーである、アイクールの外観も家具の色に合わせてあり、一体感があります。ただ、アイクール自体のデザインが何となく古めかしい感じがするのは、いすゞが開発したトラック用だから仕方のないことなのでしょうか。
最近の家庭用エアコンの室内機デザインを見る限り、これよりかなり洗練されていると思うのですが、この辺りは再考の余地があるのではないかと思います。
何となく昔の住宅の客間に付いていたクーラーを思い出すようなデザインだと感じる私。
家具は無垢材ではありませんが、キッチリと造り込んである様子。裏側の処理も丁寧で、扉のストッパーも装備。
これはフリールームの様子。ポータブルトイレを置いても十分に使える広さがあります。やはりこれだけのキャブコンですから、車内でトイレが使える空間の確保は必須だと思うところ。
壁面の表面材にツヤツヤした素材を選んでいるため、車内全体が高級ホテルのような佇まいになっているので、他のキャンピングカービルダーの既存のキャブコンとは少し趣が異なります。
このモデルは一段ベッドモデルで、後部ベッドスペースも広々としています。二段ベッドモデルも設定があることから、4人家族であればダイネット部分をベッド展開しなくても全員が就寝可能。
バンクベッドには大型のスカイライトルーフが装備され、車内の採光に一役買っています。
キャブコンのエントランスドアはやっぱりコレでしょう。アメリカ製のペラペラドアを採用しているキャブコンなど、ドアを見た瞬間に購入意欲が失せてしまいます。
「あ、こんなところでコストダウンしてるよ、いいキャンピングカーなのに勿体ないなぁ~」と思ってしまいます。
最近のキャブコンは軒並み600~800万円という価格が主流で、高級乗用車並のお値段がする車に、「コレは無いでしょう~」というドアが装備されているのはどうも納得がいきません。
ややスクエアな感じのベース車両部分とバンクベッドのデザインが融合し、なかなかスタイリッシュなデザイン。ちょっと違いますが、昔キャンピングカー広島というところが製造していた、『トラベラーアスク』というスタイリッシュなキャンピングカーを思い出してしまいました。
こちらも成約済の札が掲げられていました。小さなキャンピングカービルダーなので、納期がそれなりに掛かる(6ヵ月~)ため、「次の連休や夏休みに乗りたい!」と思っても間に合わない可能性もあります。
キャンピングカー全般に言えることですが、中古キャンピングカーでもない限り即納というのは特殊な車だけに難しく、突然欲しくなってもすぐに手に入る訳ではありませんので、くれぐれも『ご利用は計画的に・・・(笑)』という感じですね。
ベース車両がトラック業界内では一目置かれている『いすゞ』のびぃ~かむというのは魅力的。よく100万キロを走行してから各社の良し悪しが分かってくると言われる程にトラックのエンジンやシャーシの耐久性は高く、カムロードも同じトラックではありますが、格が違うといった感じ。
最近の車のインパネはラウンドフォルムが主流のため、このような直線を基調としたインパネデザインは斬新。味気が無いと言われればそれまでですが、メーターパネルのシルバーの縁取りやスイッチ類の無骨さは私好み。
オートマで、クラッチペダルの姿はありません。レジャーに使う車ですから、渋滞の中クラッチ操作やシフトレバーをガチャガチャしたくはないもの。私のキャンピングカーも古いトラックですが、購入時には迷わずオートマを選択しました。
トラックなのですが、サイドブレーキはステッキ式ではなく昔ながらのサイドレバー式。この辺りは何となく乗用車ライクな感じ。
上に引き上げるよりはステッキ式のように手前に引き付けるようにした方が力が掛かると思われるのですが、いかがなものでしょうか。
7人乗車した状態でも、さらに900kgの荷物を積む余裕があるということらしいです。900kgの荷物と言えば私の現在所有しているジェットスキーウルトラ310Rが2艇分ということで、かなりの重量物まで積載できることが伺えます。
SAKURAは発電機無しで長時間クーラーが使えます。ということで、サブバッテリーとソーラーパネルに加え、冷却効率の良いアイクールと合わせて長時間居室内を快適な温度に保つことができるとあります。
キャンピングカーに乗っていて一番大変なのが夏場の暑さ。これは乗用車でも同じことが言えますが、車中泊する際に寒ければ羽毛布団などを持ち込めば耐えることができますが、暑さだけはどうにもなりません。
特に小さな子供や高齢者が一緒のキャンピングカーでの車中泊は命にも関わる大問題。それ以前にクーラーの無いキャンピングカー内で真夏に寝るという行為は無謀そのものだと私は思っています。
ベッド下はお約束の外部収納庫。余計な出っ張りがないため、かなり広々と使えそう。もちろん小さいですが車内からアクセスすることができる扉も装備。
テールランプは最近よく見掛けるような感じのデザイン。無難な感じですが、シンプルでいいと思いますね。
日本特種ボディーは新しい会社ですが、製造しているキャンピングカーは非常に本格的。「今までのキャブコンタイプのキャンピングカーにありがちな不満や不安なところを丁寧に解消したらこうなりました。」みたいなところが多々あり、非常に先行きが期待できるキャンピングカービルダーだと思います。
これからもユーザー目線を大切にし、コストダウンやひとりよがり、自己満足等の罠に嵌らないよう、進化と進歩を続けて欲しいと思えるキャンピングカービルダーです。