お台場キャンピングカーショー2019に行ってきた『理想に近い東和モータースのヴォーン ノイン(リアエントランス)を検証』
お台場キャンピングカーショーの会場内を散策しています。
東和モータースのキャンピングカー展示ブースを先程から見学中。遠い将来になるとは思いますが、現在所有しているバンテックのジルからキャンピングカーを乗り換える際には、やはりトヨタのカムロードベースのキャブコンが良いと最近は考え中。
200系ハイエース等のベース車両の走行性能や乗り心地も捨てがたいものがある一方、カムロードベースのキャブコンの室内空間のゆとりも捨てがたく、長きに渡ってその広さと余裕ある空間を体験してしまった以上、これ以上居住空間を小さくするのは難しいと感じています。
何より、就寝スペースはもとより、トイレやキッチン等を余裕を持って使おうと思えば、キャブコン以外は考えられないもの。さらに、いわゆる5×2サイズのトヨタカムロードベースキャブコンは、日本国内で問題無く使える最大サイズだということを、18年以上5×2サイズのキャブコンに乗っている私が一番思っているところ。
前置きはこのくらいにして、それではトヨタカムロードベースのキャブコンをじっくり見ていきましょう。
今回見るのは東和モータースのヴォーン ノインというキャンピングカー。トヨタカムロードベースのキャブコンで、サイズは私の好きな5×2クラスのお車。
638万円(税別)という価格は2WD/ATのガソリン車価格。私の求めているディーゼル4WD/ATの車両は720万円(税別)という価格。
リアエントランス仕様のキャンピングカーで、エントランスステップは1段目がやや異形の2段仕様。頑張れば子供用の靴が2足と、大人用の靴が2足ギリギリ置けるような感じ。1段目が異形でなければ、上記4足を置くのは余裕でしょう。
少しのことですが、タイヤハウス等が干渉しているのでしょうか?もう一頑張りといったところかな。
格納式のエントランスステップ等は無く、トラックベースのキャブコンの泣き所であるエントランス口が高いという問題は、踏み台を置くことで誤魔化している模様。
ただ、常にリアエントランスドアから乗降する際に踏み台を置く訳にはいかないため、ここは格納式のエントランスステップが欲しいところ。
エントランスドアを入った正面にはフリールームの扉。右側にはシンク等のあるキッチン、フリールームの左側にはクローゼットとその下に冷蔵庫という一般的なレイアウト。
もちろん今やもうすっかり国産キャブコンのスタンダード装備となった感のある、家庭用セパレートエアコンもしっかりと設置。この位置にあればキャンピングカーの居室内をまんべんなく冷やすことが出来るため、やはり家庭用セパレートエアコンの室内機はこの位置がベストポジション。
ルーフベントファンが後部の天井に装備されています。欲を言えばバンクベッドにこもった夏の熱気を排出するため、出来ればバンクベッドの天井付近にルーフベントファンは欲しかったところ。
この位置にしたのは前方に取り付けると、ソーラーパネル等に干渉してしまうという設計上の理由もあるのかもしれません。
エントランス脇にはメインスイッチとバッテリーメーター、インバーターの電源スイッチの姿があり、どれもオーソドックスなタイプを採用し、変に気取っていないところが逆に好印象。
スイッチなので、これ位シンプルでいいと思います。こちらの方が見た目もスッキリで、分かりやすくてよろしい。
その下には電子レンジの姿があり、私はこの電子レンジの装備品は不要だと思っているので、東和モータースの方に「付けないと値引きはあるのですか?」と聞くと、「レスオプションという設定が無いため、価格は変わりません」ということ。
その辺りの考え方は最近の普通乗用車と同じかな。
入り口付近からダイネット部分を見る。やはりリアエントランスのキャンピングカーの真骨頂はこのダイネット部分の開放感だと思う。今でこそ見慣れているが、初めてキャンピングカーの室内を見た方は、「わ~広い~!」と99%位の人が言っているように思う。
これまで何十回もキャンピングカーショーに行き、同じような声を何度も聞いたことがある私が言うのだから間違いありません(笑)。
私も、確かにリアエントランスのキャンピングカーのダイネット部分は広いと思う。この余裕ある空間プラスフリールームやキッチン、バンクベッドの就寝スペースとくれば、子供の頃から秘密基地に憧れていた男の子(今はオッサン)がワクワクしない訳がありません。
家具はバンテックのキャンピングカーと同じ合板なのですが、合板の表面が艶消しなのが良い感じ。バンテックの合板家具が上品に見えないのは、表面がツヤツヤ、テカテカしているからだとこの内装を見て気が付きました。
バンテックのキャンピングカーは合板の見た目以前に造りがアレですが、合板の表面材の違いだけでこれ程までに居室内の雰囲気が変わるとは驚き。
バンクベッドは標準的な大きさ。大人3名が就寝するには十分なスペース。特筆すべき点としては、転落防止用ネットが標準装備されているところ。
このネットがあれば、寝相の悪い子供がバンクベッドから転落する心配もなく、安心してフロアベッドで大人が寝ることができます。バンクベッドに子供が寝ていると、いつフロアベッドに子供が降ってくるかと心配になり、おちおち寝てもいられないという体験をしている私に言わせれば、非常に重要な装備品だと思うのですが・・・。
シンク周りは非常にシンプル。常設コンロの姿は無く、カセットコンロを置いて使う模様。キャンピングカー内で調理をしない私に言わせれば、「コンロはお湯を沸かすことが出来るカセットコンロで十分」ということになるため、シンク周りはコレで全然問題無し。
壁面に大きな窓もあり、シンク部分が明るくて良い感じ。
吊り戸棚の中を見てみました。特に仕上げが雑になっている部分もなく、奥の壁面もしっかりとしており、バンテックのコルドランディのように『ベコベコ』していません。
まぁ、バンテックのキャンピングカーが少し異常なだけで、通常であればこれが『当たり前』なんでしょうけどね。
お、ここにもオートローン1.9%で180回(15年)払いの宣伝がありました。15年もローンを払い続けているうちに、完済した頃にはキャンピングカーがボロボロになっていると思われ、それもどうなんでしょ・・・。
先程バンクベッドの解説で書き忘れましたが、バンクベッドには左右に小さな窓も装備されており、昼間にカーテンを開けていれば、室内の採光に一役買ってくれます。
オッと、家具の造りに雑さはありませんと言いましたが、収納庫の中の木ネジが1本飛び出している場所がありました。締めるのを忘れたのか、それとも走行中の振動で飛び出してきてしまったのか?分かりませんが、気になりますね。
それでは恒例となりましたフリールームチェックに入ります。
扉を開けてみました。やや異形ですが、広さは十分。中に入ってしゃがんでみても、窮屈な感じはしません。
ただ、中途半端な段差があるのが気になります。ほんの5~7cm程の段差ですが、この位の段差を残すのであれば、高い部分に合わせてフラットなスペースとし、防水パンを敷いて欲しかったところ。
一部分だけ天井高が5~7cm高くても、使い勝手が劇的に良くなるとは思えず、何とも中途半端な感じがします。タイヤハウスかと思ったのですが、この面積と形を見るにつけ、家庭用セパレートエアコンの室外機がこの下に入っていると思われます。
やはり東和モータースの車両カタログを見ると、運転席側最後部に家庭用セパレートエアコンの室外機をビルトインしています。この室外機の天面を逃がすため、フリールームの床面を嵩上げしている模様。
それでもここはやはり割り切りで、フラットな床面の方がユーザーフレンドリーだと思うのですが、いかがでしょうか?掃除もやりづらそうだし、何とかなりませんかねぇ。
広さは合格。天井にルームランプも付き、ポータブルトイレを置いても大丈夫な造りだけに、何とも中途半端な床面が重ね重ね残念です。
冷蔵庫の上のクローゼット。コチラもしっかりと造られています。
ヒンジ部分の仕上げも雑な部分は見受けられません。
その下にある集中スイッチは20年以上前からあるレトロなタイプ。この辺りの進化の無さはキャンピングカー業界が普通乗用車業界から10~20年程遅れている証みたいなものでしょう。
もちろん、これは日本国内だけではなく、世界的に見てもやはり遅れていると感じるところのひとつです。
冷蔵庫は12Vの1WAYタイプ。最近は軒並みこのタイプになりましたね。容量は65Lあり、無くても大丈夫ですが、あれば何かと便利な装備品のひとつ。
カムロードの運転席周りも変わりましたね。
ダイネット部分にある大きなアクリル2重窓は見晴らしも良く、景色の良い場所での車中泊やキャンプが楽しそう。
セカンドシートに座って後方を見ると、広さを感じます。
吊り戸棚も豊富にあり、小物の収納には困らなそう。キャンピングカーで旅に出ると分かるのだけど、意外に細々とした物が必要になる。
そのような小物が車内の居住スペースを意外と圧迫するため、キャンピングカー内に細々とした収納スペースは必要不可欠。
よく200系ハイエースのバンコンの中に荷物が満載になり、荷物整理に疲れてしまっている老夫婦の話を聞くけど、あれは本当の話。
移動中や観光中はまだ良いのだが、いざ夜寝る段になるとシート上やシートの隙間に入れてある荷物を全て撤去し、ベッドを展開し、その上に寝具を敷いて寝なければならず、これが連泊して毎晩となると何気にストレスになるのは事実。
なのでダイネット部分に荷物が溢れないようにするということは、キャンピングカー内で快適に生活する上では必須条件となる。この辺りが車中泊にキャブコンタイプのキャンピングカーが選ばれる理由でもあろう。
基本的に寝具はバンクベッドに収納し、その他はクローゼットや吊り戸棚内に収納し、ダイネット部分には何も置かない位に整理していればキャンピングカーライフが充実すると思います。
カムロードは前のモデルに比べてコクピットのデザインが直線基調になりましたね。前のモデルのデザインも好きでしたが、この直線基調のデザインもシンプルで好印象。
最近の普通乗用車のように変に凝った造形を施していない分、掃除がしやすそう。やはりこの辺りは『ザ・お仕事車』といった感じ。
座席下にはこのヴォーン ノインの電源システムの目玉である『CTEK高効率充電システム』が格納されています。東和モータースのホームページの説明によれば・・・
ヴォーンNEUNに採用された“CTEK高効率充電システム”とは、スウェーデンのバッテリーチャージメーカーCTEK社が開発した「D250SA」と「SMARTPASS120」を組み合わせた画期的な充電システムです。
「D250SA」は、5ステップ充電プログラムでオルタネーターからサブバッテリーを効率的に充電し、電圧・電流の調整を全自動で行います。安全面では温度センサーを装備し、万が一の過充電を防止する機能も備えています。
さらに、「D250SA」と「SMARTPASS120」を組み合わせることで最大140Aの電流に対応させることが可能になりました。これにより、家庭用エアコン使用時のサブバッテリー消費を最小限に抑え、アイドリングでも家庭用エアコンをほぼ使用することが可能です。
さらに走行時にはオルタネーターからの出力も上がるため、家庭用エアコンをサブバッテリーの消費を気にせずストレスなく使用することが可能になります。
そのほか、ヴォーンNEUNには200W相当のソーラーパネルが標準装備されます。このソーラーパネルでは太陽光を利用し自然にサブバッテリーを充電していく為、長期保管中でもサブバッテリーの状態を良好に保つことが可能です。
ということで、サブバッテリーでの家庭用セパレートエアコンの長時間運転を可能にしたとのこと。
実際に東和モータースの方にお話を聞いてみると、「家庭用セパレートエアコンを真夏の昼間(気温30℃以上)の場合、4~5時間はサブバッテリーのみで運転可能です」ということ。
また、夜間になれば設定温度を上げることができるため、8時間以上サブバッテリーのみで運転可能だとか。
さらに、上記説明の通り、アイドリングをしている状態においては、サブバッテリーを気にする必要はなく、それこそ車両の燃料が切れるまで家庭用セパレートエアコンを運転することが可能とのこと。
なかなか画期的な電源システムで、ようやくここへ来て現実的に家庭用エアコンを運用できる目途が立ってきたということか。
今までの家庭用セパレートエアコンのキャンピングカー内で運転する際の問題点として・・・
・サブバッテリーで長時間運転出来ない
・長時間運転するためには、別途100V電源が必要
・キャンプ場の電源サイトであれば100V電源が取れるが、電源の無いサイトでは家庭用セパレートエアコンの使用は事実上不可能
・発電機をキャンピングカーに搭載している人も多いが、騒音と排気ガスの関係で、キャンプ場ではもちろん使用不可
・同様に発電機があっても使用できる場面は限られ、どこでも気軽に使えない
上記の問題点があり、気軽に使える物ではありませんでしたが、このヴォーン ノインのシステムが謳い文句通りに使えるのであれば、かなり使えるキャンピングカーだと思われます。
ちなみに、サブバッテリーはディープサイクルバッテリー(鉛電池)を3個使用する、トリプルサブバッテリー仕様。サブバッテリーの数が多ければ多い程キャンピングカー内で電気を使える時間が長くなるのですが、問題もあって・・・。
その問題とは・・・
・複数のサブバッテリーを積んでいると、個々のサブバッテリー間で劣化度合のバラつきが出る
・バラつきが出ると弱ったバッテリーに元気なバッテリーの電気が食われ、元気なバッテリーも早期に弱ってしまう
・複数の乾電池を使う機器によく『新旧のバッテリーを混ぜて交換しないで下さい』とありますが、まさにその状態になりやすい
ということもあります。
さらに、サブバッテリーも消耗品のため、定期的に交換が必要。聞くところによれば、3年ごとに交換するのが好ましいとか。その際の費用は、東和モータースさんに依頼すれば、サブバッテリー3個の交換で9万円程。自分でネット通販等でバッテリーを購入し、自分で交換するのであれば、7万円程度だと聞きました。
キャンピングカーを維持するにあたり、サブバッテリーやタイヤの交換、走行時に使うガソリン・軽油等の燃料代も考慮しなければなりません。
例えば3年ごとにサブバッテリーやタイヤを交換するとして、
■サブバッテリー3個交換・・・9万円
■タイヤ交換・・・8万円
合計17万円ということになり、17÷3=5.6万円となり、1年間でサブバッテリーとタイヤの消耗品代として6万円弱の費用が掛かる計算になります。
特殊な装備品を有する車だけに、その装備品を維持するため、相応の出費は覚悟しなければなりません。
エントランスドア付近の物入にガスコンロが収納されており、イワタニ製でないのが残念ですが、まぁキャンピングカービルダーがおまけで付けてくれるコンロなどはこんなもんでしょう。
このガスコンロはネット通販で2,600円(税込)程の商品。
700万円前後もするキャンピングカーなのだから、アウトドア遊びでも使えるイワタニ製のこの位使えるカセットコンロを付けてくれても良さそうなもの。
意外に消費者はこのような細かいところは見ているもので、販売会社の思惑を付属してくる小物類で判断しているものなのです。
ただ、このヴォーン ノインというトヨタカムロードベースのキャブコンタイプのキャンピングカー、全体的な完成度としてはなかなかのモノ。
一瞬今のキャンピングカーを手放し、超無理してコッチを購入した方が快適に過ごせるかと真剣に考えた次第。それでも、「いやいや、第一ジェットスキーが車内に収納出来ないじゃん。まさか買ったばかりの新車の背面パネルを切る訳にはいかないよね」と、思い直したり。
さらに、エアコンがいくら快適でも真夏に外に出れば、キャンピングカー内は涼しくても外に出れば酷暑な訳で、結局はキャンピングカー内から出られないのではないかと考えると、真夏の酷暑の頃は家で昼寝をしたり本を読んだりして涼しく過ごし、酷暑の夏をやり過ごしてからアウトドアフィールドに出た方が楽しいと最近気がついたため、やはり真夏のキャンピングカー内の快適さだけを追求しても仕方がないと思っています。
ということで、次期キャンピングカーの有力候補となりつつも、現実的(金銭的)な問題等により、まだまだ新しいキャンピングカーの購入は先の先になりそうです。