ナッツRV(ボーダーバンクス/コースターのボディカットフルコンを展示中)
こちらは、ナッツが造るボディカットバスコンで、ジャンルとしてはフルコンに入る一台。
トヨタのコースターをベース車両にしており、写真を見てお気付きだとは思いますが、マイクロバスのボディーカットフルコンにしては、珍しくしっかりとしたバンクベッドを持っています。
コースターなどのボディーカットをしていないバスコンやボディーカットをしているタイプでも、このようなしっかりとしたバンクベッドを持つものはなく、このバンクベッドによって従来のバスコンの不利な点である、ボディーサイズが大きいにも関わらず、就寝定員が少ないという弱点を克服することに成功。
車名も、ボーダーバンクス(BORDER BANKBED STYLE)というように、バンクベッドの存在がそのまま車名に表されています。車両サイズは全長5,990mmX全幅2,150mmX全高2,950mmと、マイクロバスのサイズを大きく一脱するものではなく、日本国内でも取り回しに苦労するような場面は少ないはずです。
早速中に入ってみることにしますが、ここでもエントランスドアのチェックは忘れません。他のキャブコン同様に高級なタイプが使われており、ベース車両はマイクロバスですが、ボディーカット仕様ということで、従来のスイングタイプのドアではなく、開き戸タイプのドアを装備。
エントランスを入って最初に左側を見て思ったのが、「おぉ~バスコンにちゃんとしたバンクベッドが装備されてるよ~」ということ。跳ね上げ蓋式になっているバンクベッドのサイズは、高さこそありませんが2,000mmX1,650mmの堂々たるサイズ。
このナッツRVのボーダーバンクス、乗車定員6名に対して、就寝定員は7名となっており、バンクベッドに2名、ダイネット部分のベッドに2名、後部ベッドスペースに3名の就寝定員を想定しているようで、家族4人であればダイネット部分をベッドにしなくても全員が就寝可能。
もちろん、トイレとシャワー設備も装備されていて、アメ車のフルコンのようにトイレルームとシャワールームが別々、という訳にはいきませんが、取り回しや使用頻度等を考えるとこれは仕方のないところ。
さて、1,000万円以上するキャンピングカーだけに、細かい点にも注意をして見ていきたいと思います。まずはダイネット側から後部ベッドスペースを見たところですが、収納庫とトイレ・シャワースペースが大きく張り出しているため、細長い通路のようになっていますが、コレは仕方のないところ。
このスペースを拡大するには、車両本体の幅を広くする必要があり、日本国内での取り回しを考えた際、それは現実的ではありません。
後部ベッド下にベッドに上るためのラダー(はしご)が収納されている部分があるのですが、ここの留め金具の爪を受ける部分の穴加工が少し雑なのが気にかかりました。このように木の素材に横長の穴を開けて終りにするのではなく、きちんと受け用の金具を入れるべきではないかと思います。
その他の部分は良くできているフルコンだけに、少しの点で損をしているのは残念。
さらに後部就寝スペースにおいては、しっかりと現在のトレンドである家庭用エアコンが装備されていて、国産メーカーであるHITACHI(日立)のエアコンを選択。ここに国産以外のエアコンを装備するのではなく、信頼の国産エアコンを装備するあたり、好感が持てるところ。
就寝スペースの上部には収納庫もきちんと配されていて、なにかと旅先で必要になると思われるこまごまとした物を収納するのに便利だと思います。キャンピングカーで長期の旅に出る際は、いろいろとこまごましたものが必要になり、特に女性は化粧用品や家族の着替え、救急用品やツメ切りなど、本当にいろいろと細かいものが意外に必要で、室内の収納スペースは多いに超したことはありません。
キッチンスペースも、多くのバスコンで使われているサイドの壁際に集中させた配置で、電子レンジや冷蔵庫、シンクにコンロなど、一通りの装備は揃っています。
車外に出てみると、やはり後部ベッド下を利用した大型の収納庫が目を惹きます。これだけ大型の収納庫があれば、キャンプ道具やアウトドアスポーツ関連のグッズなども楽々入り、車内に荷物が溢れるということはないでしょう。扉も2方向に付いていて、小さいながらも車内からアクセスできる扉も付いています。
運転席側に収納庫の扉が装備されていないのは、その部分にエアコンの室外機が埋め込まれているため。エアコンの室外機もこのくらいの車格のあるキャンピングカーであれば、このようにスッキリと納めることができます。
さらに、マイクロバスをキャンピングカーに改造したバスコンであれば、テールランプはベース車両そのものなのですが、フルコンというシェルを被せているタイプの車両のため、テールランプの造型も自由自在。これにより後部から一目見ただけではコースターベースのキャンピングカーだとはなかなか分からないでしょう。
細かい点で気になるところがありますが、これだけの装備とバンクベッドをもつ車両が、1,058万円~というのはかなり『安い』と思ってしまうのは私だけではないはず。これからも細かい点を年々ブラッシュアップして、完成度の高いキャンピングカーを造り続けて欲しいものです。