キャンピングカーのサブバッテリーの種類や使用上の注意点などをまとめてみました
キャンピングカーに縁がない方にとっては、大抵のキャンピングカーに装備されている『サブバッテリー』ってナニ?と思っている方も多いと思います。今回はそんな分かっているようで実は分かっていないかもしれないキャンピングカーのサブバッテリーについて書いてみようかと・・・。
通常の乗用車などのエンジン始動やヘッドライト、エアコン、ワイパーを動かすために使われているメインバッテリーと呼ばれるものは、『鉛蓄電池タイプ』と言われ、市場には多くの種類と数が出回っています。扱いも簡単で価格も安いのですが、過充電をしてしまうと水素、酸素などのガスが発生しやすいため、通常は開放された自動車のボンネット内などに設置されています。
現在、キャンピングカーの室内で使われているバッテリーは大別して2種類あります。ひとつめはMF(メンテナンスフリー)と言われる鉛蓄電池タイプで、硫酸の蒸発を抑えるような設計がなされていて、基本的には電極板の入っているセルが密閉されています。
もうひとつは、シールバッテリーと呼ばれるタイプ。内部構造にいくつかの種類がありますが、代表的なものはガラス繊維でできた不織布に硫酸を含ませているタイプ。このタイプの特徴は不織布に硫酸(電解液)を染み込ませているため、バッテリー本体を横倒しにしても硫酸(電解液)が漏れない構造になっている点。さらに内部で発生したガスも吸収されて消費される構造になっているため、キャンピングカーの車内に設置してもガスが車内に漏れ出すということがありません。
また、シールバッテリーにはディープサイクルバッテリーと呼ばれる深放電(電池の完全放電に相当する状況)に強いタイプもあり、キャンピングカービルダーの多くが採用しているのが、シールタイプのディープサイクルバッテリーとなっています。
以上、いいことづくめのように思われる『ディープサイクルバッテリー』ですが、欠点もあります。それは価格が高い(開方式バッテリーの2~3倍の価格)と重量。それでもキャンピングカー内に水素ガスを発生させる開方式バッテリーを設置する訳にはいかないため、前述の通り『ディープサイクルバッテリー』を使わざるを得ないのが現状。
キャンピングカー内で電気を使うために必須のサブバッテリーバッテリー。Ah(アンペアアワー)という表記で電気の容量は表され、その数字が大きければ大きい程使える電気の量も多くなります。通常は100Ahくらいのディープサイクルバッテリーが採用され、その1個でキャンピングカー内の照明、シンクの給水ポンプ、FFヒーター、ルーフベント(換気扇)、冷蔵庫などの電気をまかなっています。
105Ahという表記のあるサブバッテリーは、105Ahが電気の使い始めから使い終わりまでの電気の総量となります。ここで言う使い終わりの状態とは、バッテリーの出力電圧が10.5V(最終電圧)になるまでを言います。
そこでサブバッテリーはどれ位の時間使うことができるのかという疑問が湧いてきます。参考までに通常キャンピングカーに装備されることの多い105Ahのサブバッテリー例にとってご説明。
105AhのサブバッテリーでAhとは1時間率容量のことを指すため、105Ahのサブバッテリーは1時間で105Aの電流を出す能力があるということ。
ここからはちょいと簡単な計算に・・・。
バッテリー容量(Ah)÷総アンペア数(キャンピングカー内の装備品の消費電力)=車内で使える電気の時間
という計算式が成り立ち、簡単に言えば105Ahのサブバッテリーを装備しているキャンピングカー内で2Aの電気製品が52.5時間使えるという計算。
ただ、これはあくまで理論値のため、実際に使えるのはこの60%程度で、サブバッテリーが弱ってくれば50%を切る場合もあります。ですから、キャンピングカー内のサブバッテリー残量を確認するためには、バッテリーの残量計を付ける必要があります。キャンピングカー内では限られた電力を節約しながら上手に使うのがサブバッテリーを長持ちさせるコツと言えるでしょう。
「ではではサブバッテリーを沢山キャンピングカーに装備すればいっぱい電気が使えるじゃ~ん」と思われる方、それは正解!ただ、闇雲にサブバッテリーを増設すればいいというものではありません。
サブバッテリーは基本的にはシングル(1個)使用が管理をする上でも簡単なのですが、電気製品を満載したキャンピングカーでは、シングル(1個)では足りない場合も・・・。
そんな時はサブバッテリーをシングル(1個)からツイン(2個)に増設する方法がありますが、古いサブバッテリーと新しいサブバッテリーを接続してしまうと、バッテリー能力の差により、新しいサブバッテリーが早期にダメになってしまいます。
乾電池でも「古い乾電池と新しい乾電池を混ぜて使わないで下さい」などと言った表記を見たことがある方も多いと思います。サブバッテリーも同じで、2個、3個と増設する場合には、まとめて2個、3個と交換しなければ、結局全てのサブバッテリーが早期にダメになる可能性が高くなります。
また、サブバッテリーを3個、4個と増設することになれば、重量もそれなりにかさむため、設置場所にも気を配らなければなりません。複数のサブバッテリーで大容量のインバーターを介して家庭用エアコンを駆動させている『ツワモノ』キャンピングカーも実際に存在します。
サブバッテリーを増設する際に使う接続用ケーブルは、大電流を流すために太いものに交換する必要があるため、ホームセンター等で太いものが売られていない場合は、キャンピングカーのパーツセンターなどで注文した方が無難な場合も・・・。
【キャンピングカーのサブバッテリー基本知識まとめ】
・キャンピングカーのサブバッテリーは基本的に車内に置いて使う
・電気がなくなれば充電しなければならず、走行充電装置などが必要
・普通のバッテリーは充電中に水素ガスなどが発生するため、キャンピングカーの車内で使えるのは密閉式でガスが発生しない『ディープサイクルバッテリー』
・ディープサイクルバッテリーは深放電に強いが、深放電させたまま長時間放置すれば回復不可になる場合もあるため、深放電させてしまった場合はすぐに充電が必要
・サブバッテリーと電気機器を接続する場合には間に必ずヒューズの取り付けが必要。万が一のショート時に接続機器を守るためにも必要
・サブバッテリーへの充電方法にソーラーパネルを使うという方法もアリ。チャージコントロール用の機器は必要ですが、サブバッテリーを保護するという意味では有効な装備品
ちなみに私のキャンピングカー、バンテック・ジルでは、最初 パワーサイクラーというサブバッテリーをダブルで使用 ⇒ 次にジェネシスというバンテック社で販売していたディープサイクルバッテリーをシングルで使用 ⇒ 次にユアサのG&Yuというディープサイクルバッテリーをシングルで使用 ⇒ 現在はフィアマのFIAMM ディープサイクルバッテリー 12SPX100を使用中。
どれも一長一短ありますが、総じて価格の高いディープサイクルバッテリーの方が、使用時間や耐久性が安価なものに比べてやはり上回っているという印象を受けています。
キャンピングカーに標準で装備されているサブバッテリーが安価なものであれば、早めに高性能のサブバッテリーに交換した方が安定してキャンピングカー内の電気を使えるかもしれません。