カワサキ ウルトラ310Rの箱出しの様子を観察してみました【その04】
富津にあるスズキマリンさんでカワサキのジェットスキーウルトラ310Rの箱出しの様子を観察しています。
木枠が完全に外れ、船体保護用の青いテープも貼り付けられ、箱出しは順調に進んでいる様子。ピカピカの船体が眩しいばかりで、私の以前所有していたSTX-15Fもこんな風に輝いていたことを遠い昔のように思い出します。
給油口のコーションラベルには『この艇には、無鉛プレミアムガソリンを使用して下さい。レギュラーガソリンを使用すると、エンジンに悪影響を及ぼす原因となります。』と書いてあり、ウルトラ310Rは、いわゆる『ハイオク仕様』のジェットスキーとなります。
東日本大震災の後からガソリン価格の上昇が緩やかに始まり、一時ハイオクガソリンが200円/Lを超えたこともありました。このウルトラ310Rの燃料タンク容量は78L。仮に200円/Lで満タンにすると、15,600円というとんでもない金額に・・・。
ただ、現在ガソリン価格は下落を続けており、ハイオクの最安値である137円/Lで78L給油すれば10,686円となり、4,914円もの差が出ることになります。そのうちウルトラ310Rのハイオクガソリンを満タンにしても10,000万円掛からない日が来るかもしれません。
ただ、このウルトラ310Rに限らずジェットスキーの燃費は悪く、一日本気で遊んでしまえば50L~80L程のガソリンを消費してしまいます。トヨタのハイブリッドカーであるプリウスの実際の燃費は20km/L程が平均値のようなので、50Lのガソリンで1,000kmを走行できる計算。
1,000kmという距離は、東京から種子島までの距離に相当するようで、その距離を走行できるガソリンを一日で、しかも短時間で燃やしてしまうとは、何とも非エコで贅沢な遊びだと今更ながらに思ってしまいます。
ちなみにあまり比較対象にはならないかもしれませんが、サーキットを走るF1マシンの燃費は2km/L程だとか・・・、こちらの燃費もなかなかイケている感じですね・・・。
などと思っているうちに箱出し作業は続き、今度はハッチの止め具付近にある細かいパーツを取り付ける作業に入るようです。ハンドルは取り付けられているようですが、何故かこのハッチの止め具周りの樹脂パーツは取り付けられていないようです。
ウルトラ310Rのバッテリーは何とフロントストレージボックスの中にありました。もちろん剥き出しの状態ではなく蓋が付いているのですが、エンジンの後方にバッテリーが付いているSTX-15Fを見慣れているため、かなりの違和感を覚えます。それだけエンジンルームが詰まっていて、バッテリーを置くスペースが無いということか・・・。
これはチルト用のモーターが入っているBOXになります。噂には聞いていましたが本当にゴムバンドで留めてあるだけという造りに「こ、コレで大丈夫なの?」と思ってしまいますが、案外大丈夫のようです。
なんだかボルトとナットでしっかりと留めておかなければ、波を超える時の衝撃で『ポロッ』と取れてしまいそうな気がするのですが、そこはウルトラ310Rを開発する際に十分テストはされていると思うため、信頼するしかありません。
バッテリーBOXの上部にあるこの蓋は、エンジンルームにアクセスするための蓋ということで、ここを開けると電装BOXが入っているということ。ただ、普段は開けることはないため、ここを開けるのは点検やトラブル時のみということになります。
さらにこのストレージボックスには水が入るということで、底部にゴム栓をした穴があるのですが、「入って来た水が船内に落ちるように常に栓を開けておけば良いのでは?」という問いかけに対し「開けたままにしておくと逆に船内に溜まった汚い水が走行中の振動や衝撃で逆流してくる場合もあるため、閉めておいた方がいいですよ」とのこと。
コレがウルトラ310Rの新艇のエンジンルーム。右の方に見える箱はバッテリーの電解液で、こんなところに入れられて運ばれてくるようです。
こんな光景は箱出しの様子を観察しなければ絶対に分からないことで、「へぇ~」と言った感じ。
『SUPER CHARGED INTERCOOLED』というロゴが見えます。1,500ccのエンジンで300馬力という高出力を叩き出すため、スーパーチャージャーを含めエンジンには相当な負担がかかるはずです。
しかもジェットスキーにはギアがないため、エンジン回転数がダイレクトにインペラの回転数になるという構造上、常に全閉~全開の間を繰り返します。ウルトラ310Rの最高回転数は8,000rpmという高回転型。車やバイクでも8,000rpmを維持したまま走り続けるということはあり得ないため、ジェットスキーのエンジンは過酷な使用状況にあると言えます。
さらに水の上を走るという特性上、常にエンジンルームは湿気に曝されているため、錆び対策も欠かせません。
こちらはのんびりモードのマスコット犬君の様子で、なんだかこうして見ると犬ではなく別の生き物に見えてくるから不思議。
こちらは後方にあるインタークーラーなどの補機類の様子で、太いパイプや、タンクに施された『ゴツイ』溶接の跡が高出力エンジンだということを主張しているようです。
こちらはエンジン前方の様子で、エアクリーナーからのパイプやプラグコード、その下に見えるのは自動車顔負けの78Lもの容量がある巨大な燃料タンク。エンジンヘッドやそれを留めているボルト類などもピカピカで、「新艇って本当にいいものですねぇ~」と思わず呟いてしまいます。