ジェットスキーのドラッグレース『ザ・デュアル・ドラッグ in 江戸川 ROUND-12』を見に行きました【その03】
今回は、2016年4月24日(日曜日)に千葉県市川市のMGマリーンで開催された、ジェットスキーのドラッグレース『ザ・デュアル・ドラッグ in 江戸川 ROUND-12』の様子をご紹介。
順調に各クラスのヒートは進み、おそらく、ザ・デュアル・ドラッグ in 江戸川 ROUND-12の最大の見せ場である、ランナバウトオープンクラスのレースが始まります。
この対決は私も一番楽しみにしていたレース。何と言ってもこの会場内で一番速いジェットスキーを決めるレースなのですから、盛り上がらない訳がありません。
次々とオープンクラスのヒートが消化されていきます。
勢い余ってコーナーで吹き飛ぶ選手も出てきたりして、レスキュー艇に救助されるライダーも。やはり桁違いのパワーとスピードの出るドラッグレース仕様のジェットスキーを操るのはかなりの技量を必要とするんだと感じるところ。
そんな中、先ほどスロープ付近で見た黄色いジェットスキーが静々とレース水面に出ていきます。雰囲気は静々という感じですが、エンジン音は尋常ではない感じ。
さすがにベテラン揃いのためか、スタートはどのレースもほぼ同時、熱い戦いが始まりました。
黄色いSEA DOOに対するのはSEA DOO RXP-X300RSの改造艇。300馬力のジェットスキーを改造してさらに速くしているジェットスキーですから、SEA DOO同士ということもあって面白いレースになることでしょう。
ところが・・・。
このレース、ちっとも面白くありませんでした・・・。
というのも、この黄色いSEA DOOが『速すぎる』のです。見ている方の感覚からすれば、自転車とスポーツカー位の差があるように感じました。
いきなりスタートから全開走行ではなく、180°左ターン、360°右ターンを普通に回っているように見えても、360°ターンが終わるとかなりの差がついていました。
そして最後の直線は明らかにアクセルを抜いて流しています。
さらに後ろから対戦相手が迫ってくると、『パ~ン』という感じで一発アクセルを開け、『カ~ン』と引き離し、『ド~ン』とゴールへ滑り込むという具合。
『パ~ン』とか『カ~ン』とか『ド~ン』とかいう訳の分からない表現方法しか思い付きませんが、とにかく圧倒的加速力とトップスピードを持っているのは間違いありません。
「は、速ぇ~、あんな速いジェットスキーがあるんだ~」というのが正直なところ。
そんな感じで、『パ~ン』『カ~ン』『ド~ン』という感じであっと言う間に決勝ヒートに駒を進め、おそらく対戦相手のジェットスキーの他のヒートを見る限り、この黄色いSEA DOOを止められるジェットスキーはいないと思われました。
とりあえず各クラスの決勝を残すのみとなり、その決勝が行われるまでの間に面白いイベントが開催されました。
そのタイトルが『生駒にチャレンジ』という企画。
生駒 淳という現役のプロジェットスキーレーサーがこの ザ・デュアル・ドラッグ in 江戸川 ROUND-12には参加しており、その生駒選手とジェットスキーで競争をし、勝てばエントリーフィーの2倍の金額が貰えるという面白い企画。
しかも生駒選手が負ければ参加者に支払う賞金を自腹で払わなければならないという、絶対に負けられないレースという内容にシビレます。
公平を期するため、使用するジェットスキーは両選手とも全く同じ、ヤマハのマリンジェットMJ-VXRという1,800ccのNAマシン。
加給器が付いていないだけに、コーナーワークで差がつくマシンだと思われるため、さらに面白いチョイスだと思いました。
挑戦者の数は5人。5人全員に勝たなければ生駒選手は厳しい状況に陥ります・・・。
まずは一人目、NAマシンのため直線のスピードはほぼ互角。コーナーワークでやはりプロの技術が光り、無難に一勝を挙げます。
さらに次の挑戦者の挑戦にも勝利し、やはりプロライダーは凄いと誰もが納得していました。
これに調子づいたのか、次の挑戦者が練習走行をしている間、生駒選手はランナバウトでフリースタイルの真似事を披露したりして、余裕です。
しかしこの後、生駒選手にとんでもない悲劇が訪れるとは、誰が予想したでしょうか・・・。
まさかこの後ジェットスキーの前方に落ち、自分の乗っていたジェットスキーに轢かれてしまう・・・。そういうことではありません。
もしかして・・・。
そう、生駒選手、まさかの敗戦です。
この写真ではほぼ同時に360°ブイを回航しているように見えますが、わずかに左側の生駒選手のコース取りが膨らみ、コンマ数秒の遅れが出てしまいました。
残る直線距離はわずか。こうなると全く馬力の同じNAエンジン、しかも水面は平水とくれば、挽回するのはほぼ不可能。
そしてまさかのプロがアマチュアライダーに敗退です。
さらに悪いことに続けて4人目のライダーにも敗退してしまいます。余程先ほどの負けが堪えたのでしょう。水面で頭を抱えてしまっている生駒選手の姿がありました。
2万円が『チ~ン』です・・・。
それでも最後の5人目のライダーにはフライングスレスレのえげつないスタートを決め、何とか勝利するという余裕の無さまで見せたりして、ギャラリーはやんややんやの大喝采。
非常に面白いイベントでした。また次のドラッグレースでも是非開催して欲しいものです。
実はこの後、生駒選手はランナバウトオープンクラスの決勝戦に出て、あの黄色いSEA DOOと対決するのですが、大丈夫でしょうか?ちょっと心配になる私でした。
ヒート表も埋まってきています。
ヒート表の近くにあの黄色いSEA DOOが置いてありました。ライダーは、村田 英明さんという方らしく、ドラッグレースでは常勝のライダーとのこと。
「そりゃ、あんだけ速いジェットスキーなんだから、当たり前だよなぁ~」
と思いながら近くでじっくりとチャンピオン艇を見てみることに。
ポンプ周りは意外にシンプル。
インペラはよく見えませんでしたが、マグナムポンプはお約束。
エンジンルームが開放されていたので、「え、み、見ていいの?」と、思いながらじっくりと見てしまいました。
何やら見慣れないパーツが組まれているようで、どうもターボエンジンのよう。ターボのタービンを冷却する装置があるにはあるのでしょうけど、おそらく長時間の全開走行はご法度のはず。
まさにドラッグレースをドカンと走り切るだけのエンジンと仕様のようです。
それにしてもエンジンルームは非常にシンプルかつ美しい仕上がり。「やはりトップを走るジェットスキーのエンジンルームだけのことはあるな」と、感じました。
周辺にはハイドロスペースや800SX-Rなど、夢のようなラインナップです。
こんな感じで江戸川の岸辺に椅子を並べ、ジェットスキー仲間とワイワイ観戦し、非常に楽しい一日。
天候もすっかり回復し、今度は暑い位になってきました。
すこし小さいですが、画面中央に飛んでいるのは今話題の『ドローン』。やや強めの風が吹く中でも安定した飛行を続け、ジェットスキードラッグレース会場内やレース風景を撮影しているようでした。