日本で一番人気があるキャンピングカー「バンコン」のことを知ろう

日本国内でのキャンピングカー普及を推進している一般社団法人・日本RV協会の調査によると、2014年の時点で国内でもっとも生産数が多かったのは「バンコン」と呼ばれるタイプ。

そこで、今回はバンコンとはどんなものか、どんな魅力があるのかを見ていきましょう。

バンコンとは?

バンコンは「バンコンバージョン」の略。主に商用のバンの荷室を改装して、キャンピングカーとしてコンバージョン=転換したタイプのものを指します。

そもそも「バン」とは?

「バン」と「ワンボックスカー」の違いがわからないという人もいると思いますので、そのへんを少し解説します。

まず、「ワンボックスカー」は実は和製英語。箱型をした自動車の“総称”がワンボックスカーです。

一方「バン」は、トラックのような“荷台”ではなく、屋根がついた“荷室”がある貨物運搬車を指します。

日本では「バン」はワンボックスカーのカテゴリーの中に入れられており、同じ形状でも、人間が乗り込んで移動することを目的としたタイプは「ワゴン」と呼ばれます。

ただし、一般的には両者の区別はあいまいで、例えば軽自動車の商用運搬車も「軽ワゴン」と呼ばれたりしています。

バンコンの長所

・「最大公約数的」車種

キャンピングカーは室内で過ごすことが前提の車。だからリビングスペースは広いほうがいい。しかし、内部が広くなればそれだけ車も大きくなります。

大きい車は日本の狭い道路では扱いにくいもの。特に、林道などを抜けて釣りやキャンプに行くという使用目的の場合は、サイズが大きくなるほど使いにくくなります。

しかし、だからといって取り回し優先で小さめの車種を選ぶと、今度は狭くなる。軽ワゴンを改装した「軽キャンパー」という種類も、日本ではなかなか人気ですが、一人で使うならともかく、複数で使うとなると窮屈です。

その点、バンコンはそこそこ広く、そこそこ取り回しもしやすい。この“そこそこ”な最大公約数てきなところが、国内でバンコンに人気が集まる理由だと考えられます。

・手が届きやすい価格帯

キャンピングカーの大部分は、既存の自動車を改装・改造したもの。ベッドやキッチン、給水・排水設備など、専用のものが装備されるので、当然ベースになった車にさらにいろいろ上乗せした値段になります。

ただ、バンコンの場合は内側の改装のみにとどめてあるものであれば、200〜300万円前後で購入できるものもあり、手が届きやすいのです。

さらには、「軽キャンパー」もほぼ同じ価格帯なので、広さという点で見れば同じ値段でもバンコンのほうがお買い得となります。

・停める場所に困らない

キャンピングカーでの旅は、自宅と目的地にだけ車を停められればいいというものではありません。

ゆえに、大型のキャンピングカーを購入して、自宅に駐車スペースを確保し、旅先にも十分広い駐車スペースがあることを確かめても、旅の途中で車を停められずに困るということもあります。

例えば、地方の狭い街道沿いにある小さなコンビニで、駐車場が狭いところなどはよくあります。旅先で体調が悪くなっても、小さな薬局や病院の駐車場に停められないというような場合も考えられます。

その点、バンコンは一般車を停められるスペースがあれば余裕で停められるし、狭い駐車場から出る場合でもそれほど困ることはありません。

バンコンの短所

・ベッドは折りたたみ

大きなキャンピングカーの中に、運転席の上におでこのように飛び出た部分がついているものを見たことがある人もいるでしょう。あれは主にベッドルームとして使われている部分です。

しかし、バンコンの場合あのような出っ張りをつけることが難しく、ベッドは折りたたみ式になります。

寝るたびにわざわざリビングスペースを片付け、ベッドを組み立てるというのは少し面倒です。

・広いといっても狭い

軽キャンパーよりもリビングスペースが広くできて、室内の移動がしやすいといっても、ベースはワンボックスカーですから、その広さには限界があります。

家族連れ。特にお子さんがいるような場合や、大型犬を連れて旅に出たいという場合には、狭く感じると思われます。

バンコンに使われる車種

バンコンのベース車には、ワンボックスカーのうち商用バンが使われることが多いです。それは、余計な設備がないために改装しやすいから。国産バンコンに使われるベース車にどんなものがあるか見てみましょう。

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・トヨタ ハイエースバン

まず、バンコンのベース車として最も人気があるのが、トヨタのハイエースバン。トヨタがアピールするハイエースバンのポイントは「ビッグスペース×タフボディ」。

荷室は高さ160cm弱、幅は170cm弱と広く、万が一の衝突時にも衝撃を逃がす構造になっています。

室内が広いというのは、キャンピングカーにとって大きな魅力。キャンピングカーにコンバージョンしなくても、ちょっとした装備を置けば素のままでも寝泊まりできるほど。

実際トヨタは荷物を積んでも寝るだけのスペースを確保できるとして、「車中泊用」としての使用も推奨しています。

ただ、本格的にキャンピングカーとして使うためには、断熱加工や収納などの設置も必要。その場合でも、エアコンや収納など、車内で過ごすための装備を増やすだけの余裕があります。

キャンピングカーとしてではなく、単なる自動車として見た場合でも、トヨタ車ということで信頼性があります。

また、仮に故障したとしても、そのへんのそれほど専門性が高くない自動車修理工場でも修理をしてもらえるし、パーツの調達も容易です。

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・日産 キャラバン

ハイエースに次いで人気があるベース車は、日産のキャラバンです。キャラバンの売りも奥行き3mという荷室の広さ。

それとともに後部ドアの開口部の広さもアピールポイント。

配送業務ということを考えれば、大きめの荷物でも積み下ろししやすい荷室ドアの広さはありがたいところでしょう。

キャンピングカーにしたときのことを想定しても、入り口は広いほうがいいですね。

奥行きが3mと広いことで、仮に2mのベッドを設置しても1mの余裕ができます。そこにはキッチンやシンクといった設備を置くことができます。

国産車のバンコンベース車としては、ハイエースとキャラバンが2強。

キャンピングカー販売業者のカタログを見ていたら、6人乗りのステップワゴンのシートをそのままに、いくつかキャンピングカーとしての設備を加えてあるというものがありました。

これは、確かに移動には便利かもしれません。

しかし、キャンピングカーとしての使い勝手は決していいとはいえないと思います。それだったら、キャンプ道具を積んでキャンプ場でテントを張ったほうがまだ快適と思われます。

バンコンを使うのにお勧めなのは

バンコンの使用人数としてお勧めなのは、ズバリ1人から2人。ここに中型犬までなら加わってもいいと思います。

バンコンは広めの車内を確保できるとはいっても、大人が3人以上入れば手狭になります。また、車幅は2m足らずなので、普通サイズの大人なら2人、大柄な人なら1人でベッドがいっぱいになってしまいます。

荷室の高さも大人が真っ直ぐ立てるほどの高さはないので圧迫感があります。快適に使うということを前提にするならば、2人までが限界でしょう。

最近はリタイア後の夫婦ふたり旅にキャンピングカーを使うというシーンも増えているようです。そうした夫婦水入らずにはバンコンはぴったり。

また、一人で使うなら十分広々としているので、長く旅してもストレスなく快適にすごせます。長く旅するためには、快適にすごして疲労をためないことが大切。

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避難シェルターとしての問題点

キャンピングカーは完全なるレジャー用の自動車。しかし、東日本大震災以来災害時のシェルターとしての機能を期待して購入している人もいるとのこと。

その点、バンコンは普段の移動用にも使いやすく、特殊な大型ガレージを用意しなくても自宅に停めておきやすいということで利点があると思われているのでしょう。

ただ、災害時は道路が普通に走れるとは限りません。車で移動したほうが、かえって立ち往生する可能性もあります。

普段から非常食や水などを準備しておくのはいいかもしれませんが、それも有限です。

また、走れない状態ではバッテリーを充電するのが難しいかもしれないので、災害時用ということならばソーラーパネルの装備が必要となります。

実際のところ、東日本大震災を見ても、或いは茨城県の堤防決壊を見ても、大災害の時には津波や液状化現象、洪水など、キャンピングカーがあっても役に立たない状況などいくらでも出現します。

「キャンピングカーがあれば安心」というのは何の根拠もない自己満足に過ぎないと、数々の災害から学ぶべきではないでしょうか?

キャンピングカーはあくまで楽しく旅したりキャンプしたりするための乗り物。そこを履き違えてはいけません。

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