日本でも「キャンピングトレーラー」は使える!?

キャンピングカーというと、貨物を運ぶトレーラートラックのように、独立した箱のような居住ユニットを引っ張って走るものというイメージをお持ちの人もいるかもしれません。

しかし、実際のところキャンピングカーの主流は、居住スペースが車本体と一体化しているタイプ。そして、車体一体型のキャンピングカーには、軽自動車サイズからマイクロバスサイズまで、用途や予算などに合わせてさまざまな種類があります。

マイクロバスサイズは別として、軽トラックやワンボックスカーサイズのキャンピングカーは、この狭い日本でも人気。一方、キャンピングトレーラーはやはり「デカイ」というイメージからかあまり人気がないようです。

でも、この文章を読めばキャンピングトレーラーに対するイメージがちょっと変わるかもしれません・・・。

キャンピングトレーラー

キャンピングトレーラーって?

「トレーラー」というと、貨物積載ユニットを牽引して走る大型自動車そのもののことのように言われることがあります。しかし、実際は引っ張られているほうのユニットそのものが「トレーラー」であり、引っ張っている自動車の方は「トラクター」といいます。

つまり、「キャンピングトレーラー」といった場合は、車に引っ張られて走る居住ユニットのことを指しています。

世界のキャンピングトレーラー事情

実は「キャンピングトレーラー」というのは和製英語。アメリカでは「トレーラーハウス」、ヨーロッパでは「キャラバン」と呼ばれています。

ヨーロッパの中でもドイツでは「ヴォーンワーゲン=住居車」と呼ばれるようです。ここでは日本式に「キャンピングトレーラー」で統一します。

・アメリカのキャンピングトレーラー事情

キャンピングトレーラーが人気なのはやはり国土が広いアメリカ。

アメリカのキャンピングトレーラーは大型のものが多いので、トレーラーの後寄りに車輪を配置し、トレーラー自体にその重量がかかるようになっています。

ただ、トレーラーの重心が後ろよりになってしまうため、トラクターは頑丈で馬力が大きい車が選ばれます。

アメリカでは、長期間の旅に使われる他、「家」としてトレーラーが使われていることもあるようです。

キャンピングトレーラー

・ヨーロッパのキャンピングトレーラー事情

一方、ヨーロッパの場合はアメリカのようにだだっ広くなく、また山岳地も多いため、トレーラーはアメリカほど大きい物は好まれないようです。また、寒い地域が多いため、断熱性を増すために二重窓になっているものが主流だとか。

ヨーロッパのキャンピングトレーラーは、車体の中央に車輪が配置されているものが多く、トラクター側にあまり牽引の負担がかかりません。

・オーストラリアのキャンピングトレーラー事情

オーストラリアでもキャンピングトレーラーは「キャラバン」と呼ばれ、アメリカ以上にキャンピングトレーラーに人気があるそう。

アメリカと違うのは、大型のものばかりではなく、バイクでも引っ張れるような小型のものまで作られているということでしょう。

・日本のキャンピングトレーラー事情

キャンピングカー自体の普及率がまだまだ低い日本では、キャンピングトレーラーのオーナーはごく少数。

道が狭く、トレーラーを置けるような場所も確保できない、あるいは特殊な免許が必要ではないかというイメージが、キャンピングトレーラーの普及を押しとどめているのかもしれません。

キャンピングトレーラーのいいところは?

車体と一体型のキャンピングカーは、「キャブコン」といって運転席とシャーシだけの小型トラックの上に、後から居住ユニットを取り付けるタイプのものは例外として、多くは商用軽自動車やワンボックスカーの荷室スペースを居住用に改装したもの。

元からある車体に、内壁や収納、ベッドなどを取り付けますから、その分内部は狭くなりがち。

一方、キャンピングトレーラーはトラクターとは全く別のユニットとして製造されるため、居住スペースが広く、またレイアウトの自由度も高くなります。

日本の場合、その大きさには制限があるものの、断熱加工や二重窓により、冬の使用にも耐えられます。もちろん、エアコンの設置も可能。

さらに、車体と一体ではないことで、トラクターに使用する車を普段用としても使える上、キャンプに出たときはトレーラーだけを置いて、車で移動することもできます。

実は日本でもオススメな理由

それでも、日本で使うには免許の問題があるとか、場所をとるとか、特殊な牽引車が必要ではないかというイメージのため、やはりキャンピングカーを買うにしても一体型のほうがいいのではないかと思う方もいると思います。

それについてひとつずつ解説しましょう。

・免許について

まず、日本では用途にかかわらずトレーラーは「被牽引車」、トラクターは「牽引車」と定められ、牽引車と被牽引車を連結して走る状態のものを「牽引自動車」としています。

実は日本の道路交通法でも一定の基準以下であれば普通免許でもキャンピングトレーラーを引いて公道を走ることが可能。

その基準とは以下の通り。

1.牽引車と被牽引車を連結したときの全長が12m以下
2.被牽引車の車両総重量が750kg以下

なお、車両総重量とは、積載量いっぱいの乗員・荷物を載せた状態の重さなので、その点注意してください。また、この基準を超える場合は「牽引免許」が必要となります。

・牽引車について

トラクターに使うのは、貨物トレーラーを牽引しているような特殊な形状のものではなく、普通乗用車でもかまいません。

ただ、トレーラーを引っ張って走るためにはそれなりの馬力が必要。

絶対条件ではないものの、年間を通して使いたいというのであれば、やはり4WD車にしておいたほうが無難であると言えます。

また、牽引車として使う車両は、陸運局の支局で牽引車として十分使えるかどうか書類審査を受け、車検証に記載する必要があります。

・置き場所について

日本で使えるキャンピングトレーラーは、日本の道路交通法に準じたサイズになっています。つまり、トレーラー単体の幅・長さは、一般車とあまり変わりません。

ですから一般車を置ける駐車スペースが2台分あれば、トラクターとトレーラーを分離して停車することができます。

また、キャンプに出た先でも、2台分の停車スペースが確保できるオートキャンプ場やRVパークであれば、むしろマイクロバスサイズのキャンピングカーよりも使える場所が多くなります。

実はキャンピングトレーラーも日本でおすすめできるというのはその点。

いわゆる「バンコン」というワンボックスカーを改装したタイプぐらいまでであれば、キャンピングカーといっても取り回しも駐車場所も問題ありません。トラックを改造した「キャブコン」の場合も、1トンサイズぐらいなら問題無いでしょう。

しかし、2トンクラスのキャブコンや、「バスコン」と呼ばれるマイクロバスを改装した大型のものなどは、普通車しか運転したことがない人には取り回しが難しくなる上、駐車できる場所にも制限がでてきます。

いくら日本の道路が狭いといっても、一般道であればちょっと大きめのRVカーでも難なく通行可能で、駐車できる場所も多い。4WDのRVカーで、同程度のサイズのキャンピングトレーラーを引っ張って走るなら、こちらのほうがいろいろ楽だというキャンピングトレーラーのオーナーもいます。

キャンピングトレーラの問題点

とはいえ、オススメといっても問題点がないわけではありません。

・走行中にトレーラーを使えない

厳密に言うと、車両総重量2,000kg以上のトレーラーであれば、車検証に定員を記載しておけば、その定員分の人を乗せて走ることはできます。

ただ、日本で走行中のキャンピングトレーラーの中に乗るためには、他にも様々な安全基準を満たす必要があるため、基本的に日本では走行中のキャンピングトレーラーには乗車できないものだと思ったほうがいいでしょう。

一体型のキャンピングカーであれば、長い渋滞に巻き込まれたときには、運転手は別として、同乗者はシートベルトをはずしてちょっとリビングスペースでくつろぐということもできます。

しかし、走行中に乗れないキャンピングトレーラーの場合、移動中は普通のドライブとかわりありません。

仮にすべての条件をクリアし、走行中に乗れたとしても、乗り心地は決してよくないはず。

その理由は以下に述べる通り。

・揺れる

一般車でも牽引できるという反面、一般車はトレーラーを牽引するために作られているわけではないため、安定性は低くなります。簡単に言うと、トレーラーが左右に揺れます。

特にスピードが上がっているほど揺れやすくなりますから、高速道路では非常に神経を使って運転することになります。

・車検と自動車税が余計にかかる

日本では、エンジンを持たず自力走行できないキャンピングトレーラーも「車両」に分類されるので、自動車税も支払わなければなりません。それと同時に車検を受ける必要もあります。

とはいっても、自動車税のほうは一般の自動車よりもかなり安く設定されています。

小型キャンピングトレーラーという選択肢も

キャンピングトレーラーの長所として挙げた「広さ」に矛盾することになりますが、単身利用ということで考えると小型のキャンピングトレーラーを利用するという手もあります。

日本では、軽自動車で牽引できることを前提に作られたキャンピングトレーラーが販売されています。

また、専用車との組み合わせが必要になりますが、「N-CAMP」というキャンピングトレーラーは、連結器を折りたたんで専用牽引車「N-TRUCK」と前後に並べると、全長5.5m。一台分の駐車場に収まってしまいます。

オーストラリアの企業が作ったキャンピングトレーラーはさらに小型。

これはバイクでも牽引できる程度のコンパクトさながら、停車時には車体を伸ばして大人が足を伸ばして眠れるスペースを確保でき、テレビやシンク、引き出し式のコンロまで装備されています。

さらにはソーラーパネルまで設置されていて、晴れている時なら発電までできてしまいます。

そんな小型のキャンピングトレーラーを買うぐらいなら、一体型のキャンピングカーを買ったほうがいいと思われる方ももちろんいるでしょう。

しかし、小型とはいっても積載量は大きく、繰り返しになりますがトレーラー部分とトラクター部分を切り離せるメリットは大きい。

一体型のキャンピングカーを日常生活でも使うという場合は、キャンプ用具は降ろしておかねばならず、キャンプに出かけるときにはまた積み込まねばなりません。

しかし、トレーラーであれば車は普段通りのまま、必要な荷物はトレーラーのほうに積みっぱなしにもしておけます。

キャンピングトレーラーの選び方

キャンピングトレーラーを購入するという場合、二つのパターンが考えられます。

一つは、トレーラーとともに牽引車も購入する。もう一つは、今所有している車を牽引車として使い、それに合わせたトレーラーを買うという場合。

同時購入するのであれば、大きさや重量のバランスが取れたものを選ぶようにしましょう。

トレーラーだけ買うという場合も、牽引車として使う車で十分引ける大きさなのかを考慮して選びます。設備やレイアウトなどはそれからの話。

もちろん、牽引免許も取る覚悟というのであれば、大きめのサイズのものにしてもいいと思います。ただ、日本では、牽引免許なしで使えるキャンピングトレーラーのほうが主流。

もう一つ重要なのがブレーキ。日本で主流のキャンピングトレーラーのブレーキ方式は「慣性ブレーキ」。

これは、トラクターが減速した時に、トレーラーにかかる力を利用してブレーキがかかるというもの。

牽引車の運転席でトレーラーのブレーキをコントロールできる電磁ブレーキという方式もあります。

牽引免許なしで引けるキャンピングトレーラーには、ブレーキ無しのものもありますが、その場合はトレーラーの総重量が牽引車の半分以下でなければいけません。

まとめ

これを読んで「やっぱりトレーラーは無理だな」と思った人も、「ちょっと購入を考慮してみようかな」と思った人もいるかもしれません。

後ろにひっぱるものをつける分、より運転技術が必要になることも確かだし、車一台分余計な駐車場を確保しなければいけません。

しかし、それでもキャンピングトレーラーには魅力があることも感じ取っていただけたのではないでしょうか?

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