日本RV協会のキャンピングカー関連アンケートの裏を読み解く
2014年の12月に行われた総選挙は、消費税を10%まで引き上げるのを2017年に延長することについて国民の信を問うという名目で行われました。結局自民党が大勝したので、消費税引き上げは延長されたわけですが、これは裏を返せば2017年に消費税が10%に引き上げられることを国民が承認したということにもなります。
ところが、ここのところの景気足踏みで、またぞろ引き上げを延長するかどうかなんて話も出てきています。政府は消費税を引き上げるごとになにか理屈をつけていますが、引き上げによってなにかよくなったという実感はまるでありませんので、もう上げなければいいという思いもあれば、8%は中途半端すぎるので、10%のほうが計算しやすいかなと単純に思ったりもします。
でまあ、前回5%から8%に上がるというときにも、直前にいわゆる「駆け込み需要」というものがありました。特に大型家電や自動車などの購入率が上がったようですね。
本当に2017年に消費税がさらに引き上げられるのであれば、今年の末ぐらいにはまた駆け込み需要が生まれるかもしれません。キャンピングカーのような高額なものも、せめて10%に上る前に買っておきたいという人もいるでしょう。
なんせ、仮に100万円のキャンピングカーを買うとしても、今買えば108万円、10%に引き上げ後は110万円、100万という単位だと2万円は小さく見えるかもしれないけれど、冷静に考えると同じものを買うのに2万円高くなるというのは大な負担です。
日本RV協会は、消費税の引き上げがキャンピングカー購入に影響するかどうかのアンケート調査を行いました。
その結果、消費税が10%になっても欲しい車は購入したいと答えた人は35%。日本RV協会はよくアンケート調査を行っていますけれど、その結果分析を不自然な方向に持って行こうとするところがあります。
今回の調査でも、この結果をもって「消費税が上がっても3人に1人は欲しい車を購入する」と答えたという伝え方をしました。3人に1人という言い方をすれば、消費税の増税を重く考えている人はあまり多くないように見えます。
でも、100%の中の35%です。実際は多いとは言えません。
そもそもこのアンケートは設問自体がおかしいですね。「2017年実施予定の消費税率10%引上げがキャンピングカー購入計画に影響を与えるかどうか」です。
「影響」という聞き方はあやふやすぎます。だって、「上がったら買わない」でも「上る前に駆け込みで買う」でも「影響」と言えますから。だから、このアンケートの目的は、「増税しても気にしない人」の割合を抽出しようというものでしかないということが見て取れます。
アンケートでは同時に実際増税になったときの対応についても調査されています。ここでは質問側が4つしか選択肢を用意していません。また、その4つも大きく分けると「増税しても購入する」か「増税する前に購入する」の2パターンにしか分けられません。
この内「増税前に購入する」ほうのカテゴリーを選んだ人は34.3%。65.7%の人は、増税しても我慢して購入する、もしくは増税分を考えに入れたうえで予算内に収まる車種を購入すると答えています。
要するにこのアンケートで日本RV協会が引き出したかったのは「消費税が10%になってもキャンピングカーを購入する人は多い」という結果です。そのためにかなり恣意的な質問のしかたをしています。
つまり、キャンピングカー普及を目指す日本RV協会は、消費税の増税によってキャンピングカー売上が停滞するのを防ぎたいために、「みんな買うって言ってるから気にしないで買おうよ」という雰囲気を作りたいのです。
このような恣意的なアンケートの結果に流されてはいけません。