車中泊でエコノミークラス症候群にならないためにできること
エコノミークラス症候群とは?
いわゆる「エコノミークラス症候群」は俗称で、医学的な病名は「静脈血栓塞栓症」といいます。エコノミークラスのような狭いところで長時間座っているのが原因で発生する病気。
ただし、当然エコノミークラスでなくても発生するものなので、最近ではあまり「エコノミークラス症候群」という言葉は使われなくなってきています。
「静脈血栓塞栓症」は、多くの場合「深部静脈血栓症」と、それが原因で引き起こされる「肺血栓塞栓症」の合併症。
長時間同じ姿勢で座り続けると、おしりから太ももの裏側にかけて圧迫され続けることになります。その結果、足の裏側全体の血管の流れが悪くなります。
血流が悪くなると、人によっては静脈内に血の塊、つまり血栓ができます。これは、血液がもともと持つ血液が凝固する働きが不必要に働いたため。
この血栓が、なにかのきっかけでその場所からはがれ、血液にのって運ばれて、血管が狭くなっているところに詰まることがあり、これが塞栓症。
表層部の静脈で起きた場合は、せいぜい静脈瘤ができる程度で済むことも多いですが、深部の静脈にできた血栓がはがれると、静脈血が集まる肺まで運ばれて、肺の血管を詰まらせる塞栓症を起こすことがありますこれが「肺血栓塞栓症」。
肺は吸気から酸素など必要なガスを動脈に与え、静脈から不要な二酸化炭素などを受け取って呼気として外に出していますから、「肺血栓塞栓症」が起こるとそのガス交換ができなくなり、最悪の場合呼吸ができなくなって死に至ります。
「静脈血栓塞栓症」を防ぐためには、水分をしっかり補給し、それと同時にできるだけ血管が圧迫されている時間を少なくします。立って歩くのが一番ですが、それができない状況なら、できる範囲で腰を浮かせたり、ストレッチしたり、足の指を握ったり開いたりして血液の流れを促します。
車中泊でもエコノミークラス症候群になりうる
長時間同じ姿勢で座り続けるという意味では車中泊も同じですから、車中泊でも「静脈血栓塞栓症」になる可能性は十分あります。
長距離トラックやタクシーなど、仕事上どうしても車中泊をせざるを得ないという運転手さんもいるでしょう。そういう、やむを得ず車中泊をしている人には注意をしてもらいたいもの。
ただ、車中泊の場合、例えば飛行機の窓際ほど不自由ではないので、定期的に外に出て軽く歩けば、リスクは減らせます。また、寝ている最中も工夫すれば、寝ている時に血栓ができる可能性は低減できるでしょう。
まず、車中泊するという場合は、やわらかいクッションを車に載せておきます。できれば2つ用意して、寝るときにはシートをギリギリまでリクライニングさせ、1つはお尻の下、1つは足首の下にクッションを置いて寝ます。
寝るときは、ベルトや腰ひもなどをしばっていたらゆるめます。腰回りの血管を圧迫すると、下半身の血行不良を助長することになるためです。
寝る前の水分補給も忘れずに。特に夏場などは熱中症予防のためにも大切。トイレが近いからという理由で水分摂取を避ける年配の運転手さんもいるかもしれません。しかし、逆に夜中に一度ぐらいトイレに起きたほうが、血流をうながして血栓ができるのを防げるかもしれません。