CG-880.Value Ground Rummer(バリューグランナー)【倒産してしまったファーストカスタムのキャンピングカー】
2014年もそろそろお開きになろうかという年末に、大掃除ではないですがパソコン内のファイルを整理していたら、懐かしいキャンピングカーのファイルを発見したので、ちょっと検証してみようかと・・・。
そのキャンピングカーの名は『CG-880.Value Ground Rummer(バリューグランナー)』というキャンピングカー。そう2014年の11月に惜しくも倒産してしまったキャンピングカービルダー、『ファーストカスタム』が製造していた大型キャンピングカー。
ベース車は、日野レンジャー4tキャブオーバーを採用し、排気量は6,400cc、最高出力210馬力。
車両サイズに至っては、全長8,845mm、全幅2,430mm、全高3,065mmという巨大なトラックベースのキャブコンでした。
室内のレイアウトは、センターエントランスを入り、前方(運転席・助手席方向)にダイネットがあり、横向きのソファーが両脇の壁際に並んでいるというもの。
真ん中付近にはギャレー、トイレ・シャワールームがあり、もちろん5×2サイズのキャブコンのように兼用ではなく、それぞれが独立した空間になっていて、シャワーを浴びたら『トイレの蓋がびしょ濡れ』などということはありません。
最後部はベッドルームになっていて、そこはまるでホテルのベッドルームのようで、一般家庭でもこのような雰囲気のあるベッドルームは少ないと思われるような高級感溢れる造りになっています。
高級マンションの一室を思わせるようなダイネット部分は500mm幅のスライドアウト機構を持ち、そのスライドアウト機構自体もアメリカ製の特注品ということ。
さらに床暖房やFFヒーター、家庭用セパレートエアコンなどの装備により、どこにいても家の中以上に快適に過ごせるような装備品がテンコ盛り。
ちなみに、この CG-880.Value Ground Rummer(バリューグランナー)の主な装備品は次の通り。
高密度断熱材使用オリジナルボディ、ルーフ部ハイブリッド断熱塗装処理、オリジナルエアロフォルムボディガーニッシュ、ハイマウントランプ一体型リヤスポイラー、エントランスドア連動型電動ステップ、開閉式サイドスカート、クッカーフード、貯湯式ガス燃焼温水ボイラー(10L)、大型清水タンク(ステンレス120L)、大型排水タンク(173.5L)、3パワーカセットガス供給器、リヤベッドルーム大型スカイライトルーフ、ベッドルーム用ブルーレイ搭載ポータブルテレビ(10.1インチ)、各種保護回路付サブバッテリーシステム、オリジナル優先システム付走行充電回路、AC充電システム(外部AC・ジェネレーター)、サーキットブレーカー2か所(入出力)、等となっています。
『等と・・・』いうあいまいな表現については、おそらく上記に書かれていない装備品も多数あると思われ、全て書いてしまっても読むのが大変かもしれません。
先進的な機能として、車内の集中パネルでFFヒーターをはじめとした各種装置を一括管理できる仕組みになっていて、このような一括制御システムなど一般の家庭でも普及はしていません。
このような先進的な機構を2011年という3年前に採用しようと思い立ち、実際に具現化してしまうところが、ファーストカスタムの凄いところだったと思います。
当時のファーストカスタムの社長曰く「販売目的ではなく、自分の趣味を極めたキャンピングカーを造ってみたかった」そうで、やはり趣味でここまで凝ったキャンピングカーを採算度外視で造れるだけの技術力や資金面で余裕があったのだということか・・・。
しかし企業というものは利益を追求しなければ淘汰の憂き目に遭うのもまた事実。ファーストカスタムの考え方は決して間違っていたとは思えないのですが、市場原理の残酷な一面に飲み込まれてしまったのではないかと思うのです。
良いものを採算度外視で造ればいいという訳ではなく、そこそこのものをそこそこの価格で提供して、そこそこの利益を得るというスタイルが、やはり市場で生き残るためには必要なのか・・・。
ファーストカスタムより先に倒産してしまった『グローバル』も良いキャンピングカーを造っていたビルダー。グローバルの造るキャンピングカーも、ファーストカスタムの造るキャンピングカーも、一目置いていただけに、残念でなりません。
ちなみに、CG-880.Value Ground Rummer(バリューグランナー)の価格は2,800万円と、もはやキャンピングカーの価格ではありません。
乗車定員8名、就寝定員5名で使う『移動できる豪華ホテル』と考えれば、2,800万円の価格でも買う方がいるかもしれません。
確か当時キャンピングカーショーで見た時、ファーストカスタムの方に「買った人はいるんですか?」というぶしつけな質問に対して、「数台販売しました」と答えてくれたような気がするのですが、今となっては確かめようもなく、真相は闇の中といったところでしょうか・・・。