中古キャンピングカー『バンテック ジル キャンプパック』2000年式 4WD/AT 走行10.1万km を検証
バンテックのジル・キャンプパック4WD/ATの中古キャンピングカーが出ています。大抵の人がそうだと思うのですが、自分の所有しているモノと同じものを街中で見掛けたり、ネット上で見つけたりした場合、思わず見てしまうもの。
今回の中古キャンピングカーはまさにソレで、私の現在所有しているキャンピングカーと同じ車が中古キャンピングカーとして出ていたので、思わずじっくりと見てしまいました。
年式は2000年式と2014年現在で14年落ちということで、私のジルは2001年式のため、こちらの中古キャンピングカーの方が1年古いということになります。走行距離は101,000kmとそれなりに走行していますが、やはり使い勝手の良い5×2サイズのキャブコンのため、アチコチに出掛けたのでしょう。
私のジルも走行距離は15万kmを超えているため、やはり使い勝手の良いキャンピングカーは長く所有され、走行距離も伸びるということかもしれません。
内装に関しては知り尽くしているため、今更といった感じですが、この中古キャンピングカーに装備されている装備品は次の通り。
サイドオーニング、シャワー、温水ボイラー、フロントエアコン、ギャレー、リヤクーラー、走行充電システム、リアヒーター、背面ラダー、バックアイカメラ、冷蔵庫(3WAY)、トイレ(カセット)、FFヒーター(ガス)、ランチョショック4本、ファンタスティックルーフベント、ルーフベントカバー、1.5kwインバーター、ウインドクーラー、となっています。
いわゆるフル装備の内容で、とりあえずこのままの状態で水と燃料を入れていけば快適にキャンプ旅(車中泊)ができるという仕様。パートタイム4WDという今となっては非常に貴重なベース車両のため、91馬力のディーゼルエンジンは非力ではありますが、走破性能という点では今のフルタイム4WDのカムロードの比ではありません。
パートタイム4WDの上手な使い方としては、普段は2WDにしておいて燃費良く走行をし、悪路に入っても基本はそのまま。そして後輪がスリップするような状態になった時点で4WDに切り替えて脱出するという方法で、今までスタックを回避してきました。
フルタイム4WDだとドップリとスタックしてしまった時点で『ゲームオーバー』ですが、パートタイム4WDであればそのような状況になる前に回避することができるため、悪路走行を想定している方にとっては非常に有効なベース車両。
現行のカムロードにはパートタイム4WDの設定はなく、フルタイム4WDのみしか選択できません。ハイエースにおいてもそれは同じで、ライバルの日産NV350キャラバンにはパートタイム4WDがあることを思えば、トヨタという会社は4WDにあまり思い入れや造詣が深くない会社だということが分かります。
友人の乗る普通車ではありますが、スバルのレガシィアウトバックの4WDは非常に優秀で、重いジェットスキー用トレーラーを砂浜で牽引していても、スタックしそうになると4輪にかかるトラクションを微妙にコントロールして、スタックしそうでしないという側で見ていても見事な制御を見せています。
キャンピングカーに使われるベース車両であるトラックにそこまでは求めませんが、キャンプ地というものは整地された場所ばかりではないため、走破性にも着目したベース車両の開発をトヨタには望むところです。
話が逸れてしまいました。車内の装備品の検証を続けます。
この中古キャンピングカージルは、現在のキャブコンにはあまり見られないシートを採用しています。というのも、現在のキャブコンではサードシート(最後部のシート)の背当て部分が固定式となっているタイプが多く、リクライニングをしない直立したタイプが多いのに対し、このジルはサードシートもきちんとリクライニングします。
バンテックのオリジナルシートを採用し、現在主流になっているファスプや国産のサプリオ、REVOシートなどに比べれば動作に『カッチリ感』はないものの、通常使う範囲では全く支障はありません。
また、全ての座席が前向きにできるため、後部座席に乗る人が車酔いしにくいというメリットもあります。さらに、運転席の左後方に家族が乗車するレイアウトは、『運転するお父さんを孤立させない』という配慮から。
運転席後部に家族の座る座席があれば、真後ろの人と運転中に会話を交わすのが難しいため、助手席のお母さんと家族は会話ができるのに、お父さんは運転のみになってしまい、それでは可哀想だというバンテック社の配慮だとか・・・。
ですから、2014年の最新モデルのバンテックジルにおいてもそのコンセプトは継承されていて、運転席の左後方に家族が座る構造に変わりはありません。この辺りの考え方は各ビルダーのキャンピングカーへの想いが見えるところで、非常に面白いと感じるところ。
バンクベッドにも短いラダー(やや使いにくい)が装備されているため上り降りに不安はなく、天井高こそそれ程ありませんが、一度寝ころんでしまえばかなり広々としたバンクベッドです。
サイドソファーも長いタイプが装備されていて、乗車定員9名、就寝定員6名となっています。私も家族4人で10年以上このジルを使用していますが、全面をベッドにした時の車内の広さは5×2サイズのキャブコンとは思えない程広々としており、この辺りはリアエントランス車の恩恵を感じるところ。
どうすれば10年以上こんなにキレイな状態を保つことができるのでしょうか?私の所有しているジルのシンクはこれ程キレイではありません。これは水栓金具も同じで、やはり中古キャンピングカーショップの方が清掃・整備されたのでしょうか。「私のジルも納車時はこんなにキレイだったのだろうなぁ~」と思わせる光景。
このガスコンロ、火力はそれ程強くはありませんがお湯を沸かす程度であれば十分に使えるため、LPガスの充填さえ面倒でなければ使い勝手の良い装備品です。
冷蔵庫は3WAYで、LPガス・12V・100Vの3つのパワーソースで冷却が可能。その中でもLPガスによる冷却が一番冷えます。ただ、私のジルの冷蔵庫は手入れが悪かったせいか、故障してしまい現在は撤去しています。
Ffヒーターも現在主流のベバストのFFヒーターではなく、トルマのLPガス仕様のFFヒーター。送風用ブロア付きで、即暖性はありませんが、じんわりと暖かくなる感じです。天板がかなり熱くなるので、手を触れないよう注意喚起シールが貼ってあります。
これに温水ボイラー(24L)も装備されているため、カセットトイレの装備されたトイレ兼シャワールームで温水シャワーを浴びることも可能。カセットトイレの便座カバーが経年劣化で多少黄ばんでいるようですが、トイレルームも非常にキレイに使用されているようで、コーキングにカビなども生えていないようです。
車内にはクローゼットをはじめ吊り戸棚も豊富に装備されているため、1週間程度のキャンプ旅(車中泊)でもシート上に小物が溢れて困るといったことはありませんでした。このような細々とした収納があると無いとでは、短期のキャラバンでも使い勝手に大きな差がでます。
やはりこの辺りのレイアウトというか、配置は老舗キャンピングカービルダーだけに昔からよく考え抜かれており、家具の質感は全く違いますが、現行型のジルでも基本的な配置は同じ。
そう言う意味では、この初代ジルに近い中古キャンピングカージルのコンセプトは、15年以上経過した現行型のジルにもしっかりと受け継がれており、初期モデルにおいてレイアウト部分などは既に完成形だったということかもしれません。
車両サイズは、全長4,960mm×全幅2,110mm×全高2,900mmと現行のジルの車両サイズ、全長4,990mm×全幅2,110mm×全高2,940mmとほぼ同等。
前オーナーが快適装備として取り付けているウインドクーラーもポイントが高い装備品で、どうしても真夏の車内の冷房は断熱性が高いキャブコンと言えども効きにくいもの。それを補う上でもこのウインドクーラーの装備は有効。私も装備したいと思っている装備品のひとつです。
私のキャンピングカージルに比べて全体的に非常にキレイに使用されている中古キャンピングカーで、価格は248万円(税別)と非常にリーズナブル。パートタイム4WDの希少性を考えれば、この価格でも安いのではないかと思える価格設定。
やはり中古キャンピングカーの価格は非常に魅力的だと、改めて思わされる今回の検証でした。