中古キャンピングカー『ホワイトハウス タイムマシン ベーシック』2014年式 4WD/AT 走行360km を検証
ホワイトハウスというキャンピングカービルダーが製造する『タイムマシン ベーシック』という中古キャンピングカーが出ています。
タイムマシンなんてアニメの世界などでは聞きなれた言葉ですが、モデル名にした車両など今まで聞いたことがなかったので、意外と言えば意外で、なんだか新鮮な響きを感じますね。 ただ、中古キャンピングカーということにはなっていますが、走行距離が360kmと、ほぼ新車並みの低走行車のため、いわゆる登録済の新古車扱いという方が正しいかもしれません。
キャンパー特装車をベースに、スーパーハイルーフを架装した特注バージョンということで、全長5,380mm×全幅1,930mm×全高2,620mmと、カムロードのキャブコン並の車体サイズを誇ります。
カムロードと200系ハイエースのどちらの方が乗り心地がいいかという疑問がありますが、参考までに200系ハイエースとカムロードのホイールベースとタイヤのトレッドを比較してみます。
◆ハイエーススーパーロングワイド
ホイールベース・・・3110mm
トレッド
フロント・・・・・・1655mm
リア・・・・・・・・1650mm
◆カムロード
ホイールベース・・・2545mm
トレッド
フロント・・・・・・1440mm
リア・・・・・・・・1615mm
というようなサイズで、200系ハイエースのハイエーススーパーロングワイドの方がカムロードよりもホイールベース、トレッドともに大きく、一見カムロードの方が大きいように見えますが、実は違います。それもあって乗り心地を重視している方は、少々高額でも200系ハイエースのボディーカットキャブコンを購入していると聞きます。
さて、このタイムマシンという、キャンパー特装車をベースに、スーパーハイルーフを架装した特注バージョンのバンコンキャンピングカー、スーパーハイルーフの恩恵は絶大で、ハイエースの車内で大人が立って移動できるようになっています。
キャンピングカーというのは、現地に到着後、車内に滞在している時間も長くなるという乗用車とは少し違った使い方をされるため、この『立って車内を移動できる』というポイントはかなり重要。
これが標準ルーフの場合は車内で立って歩くことはできず、子供ならまだしも大人であれば常に腰をかがめて車内を移動しなければならず、短時間であればあまり気になりませんが、これが長時間の滞在となると話は別。
ハイエースの車内で立って歩けるというのがこれ程までに感動的なものなのか、一度体験してみれば分かると思います。
そんなスーパーハイルーフの恩恵で車内は広々とした感じを受けます。キャブコンと違いルーフに向かって天井が絞り込まれているのは仕方がないことで、ここを直立した壁面形状を求めるのであれば、カムロードなどのトラックシャーシにFRPなどのキャンピングシェルを架装した『キャブコン』を選択するしかありません。
車内のレイアウトはセカンドシート、サードシートの後部にフリールーム、最後部に異形のベッドスペースを持つという、キャブコン顔負けの室内レイアウト。
乗車定員6名、就寝定員3名となっていますが、フロアベッド脇の通路に補助マットなどを特注すれば、後部ベッドスペースで2名、フロアベッドスペースで2名の、合計4名が余裕で就寝可能だと思います。
2人旅用のゆとりあるバンコンというコンセプトであれば、国産ベース車両のバンコンとしては最強ではないでしょうか。
このキャンパー特装車をベースに、スーパーハイルーフを架装した『タイムマシン ベーシック』という中古キャンピングカー(新古車)の主な装備品は次の通り。
ベンチレーター(マックスファン)、アクリル2重窓(一部)、リアクーラー、リアヒーター、FFヒーター(ベバスト)、走行充電システム、サブバッテリー(ダブル)、外部AC入力、外部充電器 、インバーター(1,500W)、冷蔵庫(DC 40L)、電子レンジ、給水タンク(10L)、排水タンク(10L)、トイレ(ポータブル)、寒冷地仕様、となっています。
やはり車内にきちんと仕切られたトイレスペース(フリールーム)があれば、ポータブルトイレを使おうという気になるもの。時々ハイエースのバンコンにおいて、このようなフリールームも何もない車両にも関わらずポータブルトイレを装備しているキャンピングカービルダーもありますが、あまり実用的とは言えません。「個室のないキャンピングカー内でトイレを使用する気になりますか?」と、キャンピングカービルダーに問いただしてみたいものです。
一部にアクリル二重窓が採用されていて、これは断熱という点では評価できる装備品で、右サイドに張り出しているエクステンションボックスと相まって、車内の拡大に一役買っています。
このエクステンションボックスにより、後部ベッドスペースでは車両に対して『縦方向』ではなく『横方向』に大人が就寝できるようになっています。その後部ベッドスペースの下は大きな収納スペースになっていて、これだけの収納スペースがあれば、車内に配されているキャビネットと合わせて使うことで、シート上や通路に荷物があふれるということはないでしょう。
バンコンの泣き所は『収納スペースが十分に確保できない』という点もあり、その泣き所をカバーして余りある収納スペースがある『タイムマシン ベーシック』は、200系ハイエースのバンコンの中ではかなり優秀。
さらに、サブバッテリーはダブルということで、キャンピングカーというものをよく理解しているキャンピングカービルダーが製造している車両だと思います。
なかなかハイエースクラスのバンコンでダブルサブバッテリー(ツインサブバッテリー)を最初から採用してくるところはなく、やはり運用面での難しさはシングルサブバッテリーに比べてあるものの、長時間キャンピングカー内で電気製品やインバーターが使えるということは、歓迎すべきもの。
初年度登録は2014年5月と、2014年12月現在で8ヵ月落ちの新古車。ガソリンエンジンで総排気量2,700ccの4WD/AT。最高出力は151馬力、最大トルクは24.6kg-mというスペック。
この新古車『ホワイトハウス タイムマシン ベーシック』の価格は635万円(税込)ということで、キャブコン並の価格となっています。ただ、登録済というだけで走行距離も360kmという新古車のため、新車とほぼ変わりのない価格ではありますが、キャブコンでも4WD/ATの新車価格が600万円前後することを考えれば、それ程高額とは思えません。
前述の通りカムロードベースよりは確実に乗り心地も動力性能も上のため、考えようによってはカムロードベースのキャブコンより価値が高いかもしれません。